迅速3次補正/成長と再建両立 政策の実行、最重要 識者指摘

morinobu20072011-08-31

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迅速3次補正/成長と再建両立 政策の実行、最重要 識者指摘

 野田佳彦新首相には東日本大震災からの復興など政策課題が山積している。有識者からは、迅速な復興予算の編成、経済成長と財政再建の両立の重要性を指摘する声が相次いだ。菅政権は「有言実行内閣」を掲げながらも、結局、かけ声倒れに終わった。これと同じ轍(てつ)を踏めば、日本経済再生に黄信号がともる。新政権に何よりも求められているのは果断な実行力だ。
 「まずは震災復興にしっかりと取り組むことが大事だ」。早大の谷内満教授は新政権の最優先課題として復興予算の早期編成を挙げた。
 ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次主任研究員も「迅速な予算編成が課題だ」と強調した。
 本格的な復興策を盛り込む平成23年度第3次補正予算は、菅直人首相の居座りに伴う政局の混迷で編成作業が遅れ、「被災地の再建に支障が出る恐れがあるほか、日本経済の回復の足を引っ張る可能性もある」(矢嶋氏)ためだ。

 3次補正編成でハードルになるのは10兆円規模ともされる財源の確保だ。野田新首相は復興費に充てる臨時増税に意欲をみせており、一橋大の田近栄治教授も「国民に負担を求めて復興の成果を示すことが重要だ」と増税を支持する。
 野田新首相が増税にこだわる背景には、日本の国と地方を合わせた長期債務残高が約900兆円と国内総生産(GDP)の約2倍に達し、先進国で最悪の水準に膨らんでいることがある。
 野田新首相は年1兆円規模で増大する社会保障費を賄う消費税増税も目指すが、デフレ下で増税が相次げば「経済をさらに冷え込ませる」(矢嶋氏)懸念が強まる。
 このため、田近氏は「経済成長と財政健全化を両立する視点を失ってはいけない」とし、企業の競争力強化に向けた法人税減税の実現を要望。谷内氏と矢嶋氏は、お金のかからない規制緩和の活用を主張する。
 一方で各氏とも社会保障給付の見直しによる歳出の抑制も求めており、「成長なくして財政再建なし、財政再建なくして成長なし」と訴える野田新首相に対し、政策を着実に実行するよう注文をつけた。