日本の新たな格差は「女性優位」

morinobu20072010-07-03


◎【ブログ】日本の新たな格差は「女性優位」
7月2日10時1分配信 ウォール・ストリート・ジャーナル
 日本では「ジェンダー」という新たな格差が生まれている。優位にあるのは女性だ。
 今年5月までの失業率は男性が女性を平均で0.9ポイント上回っていた。この格差は3月に1.3ポイントという記録的水準に達し、5月にようやく0.8ポイントまで後退した。
 1990年代は、おおむね女性よりも男性の失業率の方が低かった。だが徐々に女性が追い上げ始め、2007、08年に両者の差は平均0.2ポイントにまで狭まった。それでも月間の格差が0.4ポイント以上に広がることはなかった。
 ところが09年4月以降はほぼ毎月、男性の失業率が女性を0.5ポイント以上上回るようになった。
 その理由は何か。この傾向は今後も続くのだろうか。
 専門家は、日本の社会構造が女性労働者にとって有利な方向にシフトした可能性があると指摘する。東京大学玄田有史経済学教授は、製造業と建設業の低迷によって男性労働者の失業が急増する一方、女性労働者はサービス業や福祉関連が成長したことで恩恵を受けたと説明する。
 大阪大学大竹文雄経済学教授は、テクノロジー革命とグローバル化によって、男性の比較優位性は減少している、としたうえで、「力仕事が必要ではなくなり、サービスや対人コミュニケーション能力が重要な仕事が増えてきたからだ」、との見方を示した。
 男性失業者数の急増は、少子化に伴う労働力減少に対する政府方針がもたらした結果ともいえる。長く与党の座にあった自民党は、将来の労働力不足につ いて「安易に外国人労働者の受け入れ範囲を拡大して対応するのでなく、まずは国内の若者、女性、高齢者、障害者等の労働市場への参加を実現していくことが 重要」(平成20年雇用政策基本方針)とする姿勢を維持してきた。
 政権交代によって誕生した民主党政権を率いる菅首相は、婦人参政権運動の先駆者である故市川房枝議員を支持する活動家として1976年に政界入りしたことで知られ、今後もその流れを引き継ぐ意向のようだ。参院選に先だって発表された民主党の新マニフェストは、「高齢者、女性をはじめ」と特筆したうえで、「働くことを望むすべて人に就業のチャンスがある社会をめざす」と定めている。
 玄葉光一郎公務員制度改革担当相は29日の閣僚懇談会で、中央省庁の幹部候補となる国家公務員1種での女性採用を30%台に引き上げるよう各閣僚に要請した。昨年の女性の割合は25.8%で、一般職国家公務員全体では、08年で17.3%だった。