「第三のビール」に増税論

morinobu20072010-11-01


経済総合市況株式産業「第三のビール」に増税論=国内メーカーは猛反発―11年度改正

 2011年度税制改正で、割安な「第三のビール」の増税論がにわかに浮上してきた。「韓国製の安い輸入品から国内メーカーを守る」(民主党議員)のが理由というが、市場シェアの大半を占める国内メーカーは「事実認識が誤っている。増税されたら売り上げ減少に直結する」(ビール大手)と猛反発している。
 第三のビール発泡酒にスピリッツを加えた「リキュール」と、豆などを使った「その他の醸造酒」の2種類。350ミリリットル当たりの酒税が28円とビール(77円)に比べ大幅に安い。店頭価格は国産なら120円前後だ。
 民主党内で浮上しているのは、このうちリキュール系への増税だ。複数の議員が韓国で製造された国産品より30円程度安い流通大手のプライベートブランド(自主開発、PB)商品の輸入急増を指摘し、「税制のゆがみを突いて大量輸入されている」「日本の工場は閉鎖の危機だ」などと強調。国内雇用を守るためにも増税が必要と口をそろえ、中には法人税減税の代替財源として有望視する向きもある。
 同党の財務金融部門会議では、税制改正の重点要望に増税検討を求める意見が盛り込まれ、野田佳彦財務相も「政府税制調査会で議論したい」と意欲を見せ始めた。
 だが、税率は国産も輸入品もすべて同じ。韓国製のPBが安いのは「コストの違いや円高の影響」(ビール大手)が大半だ。民主党内では「リキュール系はほとんどが韓国製」との声が多いが、韓国製のシェアは今年1〜9月期で9%程度(業界推計)。増税すれば国内メーカーへのダメージの方が大きい。
 民主党政権交代前からアルコール度数に比例した酒税を提唱していたため、第三のビール増税はある意味で既定路線。ただ、事実と異なる解釈をもとに増税を提案するのは無理があり、理論武装と戦略の練り直しが必要になりそうだ。