尖閣映像流出 海上保安官の逮捕見送り

morinobu20072010-11-16



尖閣映像流出 海上保安官の逮捕見送り…罰金・起訴猶予



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タクシーで第5管区海上保安本部を出る海上保安官(タクシー後部座席左側)=神戸市中央区で2010年11月16日午前1時26分、小関勉撮影
 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡るビデオ映像が流出した事件で、警視庁捜査1課と東京地検は15日、国家公務員法守秘義務)違反容疑で取り調べていた神戸海上保安部の海上保安官(43)の逮捕を見送り、在宅で捜査を継続する方針を決めた。保安官が自ら名乗り出て事実関係を説明しているため「逃亡や証拠隠滅のおそれはない」と判断した。16日は聴取しない。捜査1課が書類送検した後、検察当局が刑事処分を決めるが、公判請求しない可能性も出てきた。
 捜査関係者によると、流出した映像は石垣海上保安部が編集後、分析や鑑定のため海上保安庁の庁内ネットワーク(イントラネット)を通じて海上保安大学校広島県呉市)の共有フォルダーに保存された。一時は閲覧制限がなく、第5管区海上保安本部(神戸市)と第2管区海上保安本部(宮城県塩釜市)管内のパソコン(PC)から数十件のアクセスがあったという。
 保安官は今月10日、乗務する巡視艇「うらなみ」の船長に「自分が映像を流出させた」と告白。捜査1課は、うらなみの共用PCに同僚が取り込んだ映像を、保安官がUSBメモリーにコピーしたうえで、動画投稿サイトに送信し、職務上の秘密を漏えいしたとみて捜査していた。
 保安官は事実関係を認め「国民に見てもらいたかった」と説明したが、匿名性の高い漫画喫茶から投稿したうえでUSBメモリーを壊して破棄した疑いもあり、警視庁や、最高検の一部には「悪質性が高い」として逮捕を主張する意見があった。一方で、保安官が任意の取り調べに応じていることから、検察内部には在宅捜査でも真相解明は可能との意見が多く、逮捕の必要はないと結論付けた。

 海保側の情報管理上のミスが流出につながった可能性があることから、検察内部には悪質性は低いとの見方もあり、最終的には略式起訴して罰金とするか起訴猶予にすべきだとの意見が出ている。

 保安官は16日未明、弁護士を通じてコメントを発表した。全文は次の通り。

 私が今回起こした事件により、国民の皆様、関係各位には多大なるご迷惑を掛けたことをおわび申し上げます。海上保安庁の皆様、中でもお世話になった方々や今回の件でご苦労されている方々に対しては、申し訳ない気持ちでいっぱいです。今回、私が事件を起こしたのは、政治的主張や私利私欲に基づくものではありません。ただ、広く、一人でも多くの人に遠く離れた日本の海で起こっている出来事を見てもらい、一人一人が考え、判断し、そして行動してほしかっただけです。私は今回の行動が、正しいと信じておりますが、半面、公務員のルールとしては、許されないことであったと反省もしています。私の心情をご理解いただければ幸いです。