原発反対派、目立った伸長みられず
◎原発反対派、目立った伸長みられず
東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、統一地方選後半戦では原発が立地する自治体で安全対策や是非が争点となったが、原発反対派の目立った伸長はみられなかった。
東京電力労働組合の組織内候補も、厳しい逆風の中、開票された選挙では全員が当選した。
高速増殖炉「もんじゅ」など原発3基が立地する福井県敦賀市長選は、初当選以来〈原発との共存共栄〉を掲げた現職の河瀬一治氏が市発足以来初の5選を決めた。
市は財政、雇用面で原発に依存。このため河瀬氏のほか、元市議や元市会議長、敦賀短大教授の3候補はいずれも原発との共存を前提に、原発の安全強化や防災対策などを中心に論戦を展開した。新人は多選阻止を訴えたが、福島第一原発の事故後は経験豊かな現職を再評価する声が強まった。
福島第一原発と同じ東京電力の柏崎刈羽原発を抱える新潟県柏崎市議選(定数26)では、立候補した原発反対派7人のうち、5人が当選した。
改選前(当時の定数30)の反対派の勢力(7議席)からは2議席減となり、引き続き推進・容認派が多数を占めた。
同市議選では選挙戦を進める中で、推進・容認派の中で安全対策基準の厳格化や2007年の中越沖地震後に休止した3基の運転再開に慎重な考えを訴える候補者が増えた。隣の同県刈羽村議選(定数12)には、原発反対派4人のうち3人が当選したが、改選前と同じく推進・容認派が多数を占めた。定数14だった改選前は、反対派は4人だった。