ご主人待つ、救出ペット 警戒区域から46匹 施設に滞留

morinobu20072011-05-12

ご主人待つ、救出ペット 警戒区域から46匹 施設に滞留

 東京電力福島第1原発から半径20キロ圏内の警戒区域に残されたペットの“救出作戦”が11日始まった。福島県川内村で保護された犬や猫は、立ち入り禁止から約3週間ぶりに、福島市内の施設に安住のすみかを見つけた。ただ、避難所生活の飼い主への受け渡しには時間がかかるため、続々と保護されるペットらの管理が今後の課題となりそうだ。(是永桂一)

 警戒区域に入った県職員らによると、鎖を外された犬は一部野犬化し、特にやせた様子もなく、元気に走り回っていた。最初のうちは人間を警戒し、餌をあげても食べなかったという。しかし、一時帰宅した住民の話によると、部屋で飼われていた猫や、鎖でつながれたままの犬の中には、死んだものもいたという。
 10日に行われた一時帰宅で犬9匹と猫3匹が、11日の救出作戦で犬2匹と猫2匹が保護されるなど、これまでに警戒区域内から保護されたペットは犬39匹、猫7匹にのぼる。犬と猫は福島市中心部から30分ほどにある50平方メートルほどの古びた倉庫に一時避難。このうち、飼い主に引き渡されたのは犬1匹だけだ。
 飼育担当者によると、ペットの健康状態に異常はないものの、川内村から救出された子犬1匹は、ストレスからか与えられた餌をもどすため、脱水状態に陥る危険もあるという。
 一時帰宅では、ペットを連れ出すことは禁止され、連れ出し希望者はペットを庭先などにつなぎ留めておくなどして、救出を申請。後日、県職員らが現地に行って連れ出す手段が取られている。
 救出後は、獣医師による健康診断を受けて飼い主に引き渡されるが、避難所で飼い主が引き取れない場合は、しばらくの間、施設で無料飼育する。
 福島県によると、警戒区域内では約5800匹以上の犬が登録されており、登録の必要のない猫を含めると1万匹以上のペットが飼われていたとみられる。立ち入り禁止以降、「どれほどのペットが無事かは把握していない」(県保健福祉部)という。
 現在、国や県が管理する警戒区域内のペットの保護施設は1カ所だけだ。一時避難や計画避難が本格化した場合、警戒区域に取り残されたペットを保護する施設に余裕はない。県の担当者は「続々と保護されるペットは増えていく。安心してペットを預かるため第三者の受け入れ先なども検討していく必要もある」と頭を悩ませる。