12生物絶滅、世界遺産に試練…小笠原・伊豆諸島で都認定

morinobu20072011-06-16

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12生物絶滅、世界遺産に試練…小笠原・伊豆諸島で都認定

 絶滅の危機に瀕(ひん)している生物をまとめた東京都の平成23年版レッドリストで、小笠原諸島と伊豆諸島の12種類の生物について、都が絶滅したと認定していることが分かった。前回の10年版リストの改定にあたって判定した。小笠原諸島は月内に世界遺産登録される見込みだが、登録されれば自然環境保全が厳しく求められる。都環境局は「生物多様性を守るような自然とのつきあい方がこれまで以上に必要になる」と話している。

 都では都内を本土部と島嶼(とうしょ)部に分けてリストを作成。今回の島嶼部のリストは平成21年度から2年間かけてヒアリングや現地調査を実施してまとめられた。
 23年版のリストによると、前回以降で都が絶滅にあたる「EX」という判定を下したのは、小笠原諸島ではシマハヤブサや貝のオガサワラキビ、伊豆諸島ではコフキトンボや昆虫のガムシなど計12種類となった。外来種に捕食された可能性があるとみられる。
 リストに掲載されているのは、小笠原諸島で625種、伊豆諸島では617種。前回版より約150種類増えたが、都環境局によると、外来種の影響で個体数が減ったことが主な理由とみられる。
 島嶼部はもともと生息していなかった外来種によって島固有の動植物が捕食されることで、個体数が大幅に減少することが多い。
 小笠原諸島では、食用として持ち込まれたヤギがシマウツボ(植物)などの固有植物を食い荒らした例のほか、ペットとして持ち込まれた猫がハハジマメグロ(鳥類)を食べたり、外国産のトカゲ「グリーンアノール」の影響で、チョウのオガサワラシジミが減少したりしている実態が報告された。
 また、伊豆諸島の三宅島では、平成12年の噴火によって、フンコロガシの仲間「ダイコクコガネ」が絶滅したとみられる。
 一方、小笠原諸島クロアシアホウドリオガサワラオオコウモリのように、生育状況が改善したものもみられた。伊豆諸島の調査では御蔵島で新種のクモ3種も発見された。
 世界遺産登録が濃厚な小笠原諸島は観光客の増加が予想され、環境に大きな負荷がかかることになる。
 都環境局は「外来種は衣服や靴底に付着して、気づかないうちに島に入り込むこともある。固有の動植物に大きな影響を与えることを知ってほしい」と注意を呼びかけている。