自宅で亡骸囲み酒宴 桃井かおりら50人笑って別れ…原田芳雄さん急

morinobu20072011-07-20

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自宅で亡骸囲み酒宴 桃井かおりら50人笑って別れ…原田芳雄さん急死

 圧倒的な存在感で数々の映画、ドラマに出演し、人気を集めた俳優の原田芳雄(はらだ・よしお、本名同じ)さんが19日午前9時35分、上行結腸がんによる肺炎のため、都内の病院で死去した。享年71歳。今月16日には、主演映画「大鹿村騒動記」(阪本順治監督)が公開されたばかりだった。アウトローの役者として最後まで現役にこだわり、再びカメラの前に立つことを願って闘病を続けていたが、その思いは、ついえてしまった。
 突然の悲報を受け、東京・渋谷区の原田さんの自宅には女優の桃井かおり(60)、大楠道代(65)、俳優の柄本明(62)、石橋蓮司佐藤浩市(50)、荒戸源次郎監督(64)ら映画仲間約50人が弔問。原田さんの遺体を囲んで深夜まで別れの杯を酌み交わした。
 遺体の枕元には、映画「竜馬暗殺」の時の特大写真が飾られた。酒を愛した原田さんをしのび、自宅にはビールや焼酎、日本酒など大量の酒が持ち込まれ、弔問客らは「(原田さんは)まだここにいるから、笑いながら楽しい話をして送りだそう」と献杯した。原田さんが愛したブルースの曲が流れる中、にぎやかに思い出話に花を咲かせた。酔った勢いで顔にキスしようとして止められる人もいた。章代夫人や長男の喧太らも気丈に務めていたという。
 荒戸監督は「べたべた顔を触っちゃった。冷たくなったけどね。穏やかで立派な顔をしてましたよ」。11日の「大鹿村騒動記」の完成披露試写会で話をしたのが最後の会話に。「声が出せなくてつらそうだったけど、『今度のはいい映画だぞ』って話してました」と振り返った。
 原田さんとは35年来の付き合い。「ツィゴイネルワイゼン」は荒戸さんたっての希望で主演に迎え、以来、日本映画史に残る作品を共に作ってきた。「一言で言うと、映画の味方だった数少ない人。映画にとりつかれ、いい映画を作りたい一心でした。普段はおだやかだけど、仕事場ではとても怖い人でしたから、かけらでも手を抜けなかった」
 「向こうには勝(新太郎)さんや(松田)優作がいますから一緒に映画を作って待っててください。僕もそのうち行きますから」。最後の別れを惜しむように、酒盛りは深夜まで続いた。
 ◆駆け付けた主な弔問客 荒戸源次郎氏、石橋蓮司柄本明大楠道代勝村政信、金山一彦、熊谷真美、桑名正博、崔洋一氏、佐藤浩市長谷川和彦氏、吹越満松たか子松田美由紀桃井かおり松田翔太
 ◆報道陣にも弔い酒 外で待つ報道陣にも弔い酒がふるまわれた。午後7時頃、関係者が「故人のために、ぜひ献杯してください」と缶ビール24本入りの箱と紙コップ約50個を手渡し。生前、にぎやかな宴を好んだ原田さんらしい粋な計らいだった。