最小の脊椎動物、7.7ミリのカエル

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最小の脊椎動物、7.7ミリのカエル

10セント硬貨よりはるかに小さいカエル、Paedophryne amauensis。ニューギニア熱帯雨林に生息する。
(Photograph courtesy Christopher Austin Louisiana State University)
大きさがイエバエほどしかないカエルが見つかった。最新研究によると、これまで確認された中で最小の脊椎動物だという。
新発見のこのカエルは学名をPaedophryne amauensisといい、体長は平均7.7ミリ。それまで最小とされていた東南アジアの魚の一種で、メスの大きさが約7.9ミリのPaedocypris progeneticaよりも髪の毛の太さ分ほど小さい。
 先ごろパプアニューギニア南部で行われた現地調査において、研究チームはP. amauensisともう1つ別の極小カエルの新種、Paedophryne swiftorumを発見した。こちらは体長約8.6ミリだ。
「まだまだ小さなカエルが発見されているのは驚くべきことだ」とコンサベーション・インターナショナル(CI)の両生類の専門家ロビン・ムーア氏は話す。ムーア氏は今回の研究には参加していない。「彼らが他のどの生物も占めていない生態的地位を確保するために適応している」ことは明白だと同氏は述べている。
実際、これらのカエルは、大型の捕食者に見過ごされるダニなどの小型の無脊椎動物を食べるために小さな体に進化した可能性が高いと、研究の共同執筆者でバトンルージュにあるルイジアナ州立大学生物学者クリストファー・オースティン(Christopher Austin)氏は述べている。

◆捕獲が難しい極小カエル
2010年にその存在が報告されたPaedophryne属は、どの種もみな小型で、ニューギニア熱帯雨林の林床に堆積した落ち葉の中にのみ生息するとみられる。
この小さな生物の居場所を特定するため、研究チームは鳴き声に耳をすまし、それがどこから聞こえるのかを突き止めようとした。彼らの高い鳴き声は、人間の耳にはとりわけ発生源を特定しづらいため、これは至難の業だ。
 オースティン氏と大学院生のエリック・リットマイヤー(Eric Rittmeyer)氏は、4回試みた末にカエルの居場所を特定し、その場所の落ち葉を手のひら一杯につかんではポリ袋に入れた。
そして袋の中身をくまなく探ったところ、「ようやくこの小さいやつが落ち葉の上に飛び出してきた」とオースティン氏は話す。
 カエルは非常に小さく、皮膚の模様も土のような色をしているため、肉眼で捉えることは難しい。そこでオースティン氏は撮った写真にズームインするという、デジタルカメラを顕微鏡のように使う方法を用いた。
しかし、カエルを撮影することは、見つけることと同じくらい難しい。オースティン氏がカメラを目の前に構えたとき、被写体はすでに逃げてしまった後ということも多かった。
 同氏によると、今回見つかった新種は「驚くべきジャンプ力を持ち、自分の体長の30倍の距離を跳べる」という。
ニューギニア以外にも仲間が
研究の一環として、オースティン氏のチームは世界中の極小カエルの遺伝子を比較した。その結果、極小カエルは世界でこれまで11回の独自進化を遂げており、生息地域はカエルの皮膚が乾燥せず、餌が豊富な熱帯雨林にほぼ限られていることが明らかになった。
「極小カエルは風変わりな生物というだけでなく、これまで確認されていなかったギルド(共通の資源を利用する種の集まり)の存在を示している」と研究論文には記されている。
今回の研究成果は、1月11日付で「PLoS ONE」誌に発表された。